稽古について

こんばんは。33代の高橋です。
今日は新観演武だったようですが、いかがでしたでしょうか?

ところで(ここに書く内容ではないかもしれませんが)今週の稽古はどうなっているのか教えていただけないでしょうか?

今週末に毎年恒例の社会人の合気道部仙台合宿があります。
例年、私は金曜に先乗りして稽古に参加させてもらっています。
今回、社会人の方二名が一緒に金曜の稽古に参加したいということで、その予定で動いています。

この期に及んでという気もしますが、情報宜しくお願いします。

第20回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2005年4月号の転載です。

——-
「カンボジア通信 April 2, 2005」

1. 合気道活動報告
3月20日~25日の6日間、合気道幸徳会、富士通合気道部の中野秀一5段(法政大学合気道部OB)がプノンペンに滞在されました。
短い滞在の間に6回の稽古指導をお願いしました。23日(水)と24日(木)の2回はオープンしたばかりのアーク・トゥール・クラサング道場での12~13歳の少年を中心とする稽古でしたが、彼の指導ぶりがとても印象に残りました。中野さんは、川崎の幸徳会の稽古で多くの少年、少女たちを指導しており、準備体操なども子供向けに工夫していて、小さい子供を教えた経験に乏しい私にはとても参考になり助かりました。
また、25日は帰国当日にも拘わらず午前中に床の修理がほぼ完了したプレック・アンチャン道場での記念すべき稽古再開の初指導をお願いしました。
久しぶりの稽古で高校生を中心とするメンバーは、熱心に中野さんの指導を受けていました。
なお、プレック・アンチャン道場につきましては、この程、アークより道場に関するすべての権利をカンボジア合気道クラブ(CAC)へ委譲してもらうことになりました。今後については、道場を運営していく上での一切の責任をCACが負うことで、高校生たちも安心して稽古を続けていくことが可能となりました。
アーク、北條代表をはじめ会員の皆様のご配慮、ご支援に心より感謝申し上げます。
中野さんは、バクセイ・チャムクロング・クラブ道場とバサック道場でも指導されて、CAC4道場すべてで稽古指導された初めての指導者となりました。稽古中心の滞在となり、こちらの生徒たちには貴重な経験となりましたが、たいしたおもてなしも出きぬまま帰国され、誠に申し訳なく思っております。
私たちの活動ぶりが度々、テレビや新聞、雑誌などで紹介されるせいか、変わった依頼を受けることもあります。

この程、Lycee francais Rene Descartes (aefe) というフランス系の学校の先生3名が稽古見学に見えました。合気道の剣と杖の形をみたいとの希望で、お見せしました。話しを伺うと、生徒9名が演じる「星の王子様」のショーの中で、先端にライトをつけたスティックを使う場面に合気道の杖の動きを取り入れたいので指導してほしいとの依頼でした。
合気道の稽古ではないので、戸惑いましたが3月31日から6月9日の最終リハーサルまでの7回、杖の動きを使った振り付けで協力することにしました。協力後に、CACへわずかですが寄付してくれるそうで、ラブート氏らのクラブ運営資金の助けにはなるようです。

3月31日午後に、ラブート氏の長男チェミニト君を助手に第一回目のリハーサルを行いました。足さばきと簡単な杖の形を練習しましたが、6~7歳の男の子9名は右も左もバラバラで、揃ったパフォーマンスにするのはかなり難しそうで、どうなりますやら予想がつきません。好奇心からとはいえ、安請け合いし心配の種を抱え込んでしまったかもしれません。
2003年12月以来、熱心に稽古されてきたJICA専門家の小林隆信さん(3級)が3月30日に2年9ヶ月の任期を全うされて、息子の平延君(4級)ら家族と共に帰国されました。

帰国後は埼玉に住む家族と離れ、香川県の農水省関連の役所に勤務されますので、合気道丸亀道場で稽古を続けたいと申しておりました。CACを物心両面から力強く支えてくれました。本当に有難うございました。 
本省での会議出席などで上京することも多いそうで、私が審査した3級の免状を持参して本部道場を訪ねるよう勧めておきました。その際は、会員登録、正式の免状交付などご手配下さいますよう本部道場の皆様よろしくお願い致します。  
  

2.カンボジア・トピックス

・家族カンボジア初訪問
3月3日~11日の9日間、妻と息子、娘の3名が初めてカンボジアを訪れました。
JICAではシニアボランティアが、勉学のため日本へ残している子女を学校休暇期間等を利用して任地に一時呼寄せした場合に航空料金の一部が支給されるという「子女一時呼寄せ制度」があります。息子、娘とも大学生で、この制度を利用した訪問ができました。
滞在期間中は私の仕事場の一つであるバクセイ・チャムクロング・クラブ道場での稽古見学をはじめとして、週末を利用してアンコールワット遺跡とシアヌークビルに案内しました。トンレサップ湖では水上家屋で漁業を営みながら生活している人々の暮らし振りなどが珍しかったようです。
例年に比べて気温も低めで、朝晩は20度前後で推移していたようで、たいした汗をかくこともなく遺跡めぐりができました。
日本にいればこの時期花粉症に苦しめられる妻は、炊事、洗濯の主婦業からも開放されて快適に過ごせたようで何よりでした。

ただし、私にとっての唯一の誤算が、シアヌークビルのホテルカジノで発生しました。会社員時代のラスベガスやロンドンのカジノでの経験から賭け事は決して儲からないということを教えるために息子、娘にそれぞれ50ドルを渡し、遊ばせたのですが、ビギナーズラックなのか日本のゲームセンターで鍛えているためか分りませんが、息子、娘ともわずかですが勝ってしまい、せっかくの親心は逆効果となってしまいました。
まあ、こちらの人々のつつましい暮らしぶりを垣間見てくれただけでも良かったかなと親としては自己満足せざるを得ませんでした。
  

・カンボジア軍:スーダンでの国連平和維持活動へ初派遣
この程、カンボジア政府は紛争地域のスーダンへ軍隊を派遣し、国連の平和維持活動に協力すると発表しました。
当初、隊長と隊長補佐からなる将校15名を派遣し、次いで135名の兵士を英語力、健康状態、政治への中立性などの面から厳しく選抜し、派遣する予定です。すでに選抜されている将校たちは、1993年に国連暫定統治機構の機関で仕事をした経験者が殆どです。
フンセン首相は、国連の要請があれば1,000名までは世界中どこにでも派遣する用意があると表明しました。しかし、この国に派遣費用を負担するだけの予算がないため、すべての費用は国連が負担することになります。カンボジアも長い紛争の時から10年を経過して、やっと他国の紛争地域での手伝いが出きるようになりました。
日本では自衛隊のイラク派遣について議論が続いていますが、この国の人々にとって自国の軍隊が他国の平和のために活動できるということは、自らの国の平和を象徴する出来事といえるでしょう。この事実の重みは、これまでのこの国の過酷な歴史を振り返ると、我々日本人とは比べ物にならないだろうと言わざるを得ません。 

・中学校進学率低迷続く
教育省は小学校から中学校への登録料を無料としているにも拘わらず、進学を諦める生徒の数が増え続けていると発表しました。
この背景には、貧困と先生へ支払う非公式の授業料の存在があるそうです。
教員組合によると、昨年は35%の生徒が勉強を続けることができなくなり、この比率は2003年より5%悪化しました。これらの生徒たちは家計を助けるために仕事を始めざるを得なかった子供が大半で、また、低給与の教師たちが小遣いかせぎのため、不当な費用負担を生徒の親に強いることが学業継続を更に困難にさせている要因と思われます。。
特に、地方における学校建設の遅れと教員不足が深刻で、都会においてすら一クラスに100名以上の生徒という学校も多く、大きな問題となっています。
世界銀行や各国のNGOが資金を提供して、学校建設などを進めていますが、政府による教育行政の運営や予算配分面でまだまだ改善すべき課題が多いようです。
教育の機会均等がかなりの程度確保されている日本においてすら、格差の固定化が問題になりつつあるとNHKテレビの特集番組で報じていました。
しかし、カンボジアでは「教育の機会均等」という言葉すら聞くことが少ないのではないでしょうか。
貧富の格差が更に拡大し、社会不安を増幅させない為にも、せめて小学校と中学校教育だけでも子供たちがきちんと受けることができるようにして欲しいものです。  
    
カンボジア合気道クラブ
                  工 藤  剛

本部春合宿

35代の伊藤です。

1週間前になりますが、現役部員が本部道場に春合宿に来ていたので木曜日と日曜日に久しぶりに本部へ行きました。

木曜日は内弟子さんの代稽古だったのですが、相手を何回か変えてやったので現役部員とも何人かとやることができました。永田君、上岡さん、佐々木さんだったと思います。3人とも結構と言っては失礼ですが上手かったですね。永田君なんかよく稽古してるのではないかと思わせました。(私の目が曇ってるといわれるかも知れませんが;-) )

日曜日は、道主の稽古の時間で主将の金子君に相手をしてもらいました。彼とやってたお陰で実に6年ぶりくらいに道主に投げられました。もちろん、金子君も実に稽古をやっているなぁと感じさせるものがありました。久しぶりに本部に来た先輩に気を使ったのか、若干緩くなるところもありましたが、稽古していて感じさせる学生らしさは清々しくて気持ちよかったです。

2年生は、残念ながらあまり見れなかったのですがあの様子ですと45周年も無事取り仕切ってくれるのではないかと思います。道主からも
「今年は演武会だな。来るよな?」
と言われたので、仙台に足を運ぼうと思っていますが楽しみです。

ところで、今の女子部員は1年目の春合宿から袴を履くみたいです。似非フェミニストの私としては、1年後期から付けさせても良いのではと思うのですが 🙂 。

第19回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2005年3月号の転載です。
?-

「カンボジア通信 March 1, 2005」

1. 合気道活動報告

セミナー & 新道場オープニングセレモニー

東芝合気道部の金子さん(当部OB)が2月10日~18日の間、カンボジア合気道クラブ稽古指導を目的にプノンペンを訪問されました。2月21日にオープンした「アーク トゥール クラサング合気道道場」に掲げる開祖、2代目道主、現道主の写真を携えての2度目の訪問でした。11日からレス ジャルデンス ドゥバサック道場での指導をお願いしましたが、2度目ということで生徒たちのなかに顔見知りも多く、スムーズに指導されておりました。

アーク トゥール クラサング道場では、ラブート氏ら多くの生徒がオープニングセレモニーに向けた準備に忙しく稽古は出来ませんでしたが、道場正面に掲げた開祖、2代目道主、現道主のお写真をお見せすることが出来ました。週末の休みもあり計5回の稽古でしたが、生徒たちもいつもと違う先生の指導を受けることでこれまでとは異なる新鮮さを感じてくれたようです。

また、今回は稽古のない週末を利用して一泊二日でシアヌークビルを案内しました。プノンペンからバスで片道4時間の旅ですが、バス代往復7ドル、ホテル1泊18ドルと信じられない位の安さです。ここのリアム国立公園で、JICAシニアボランティア前川宏氏(環境教育、神奈川県出身)がレンジャーとして自然環境保護の仕事をされていて、ボートで案内してもらいながら彼の仕事ぶりを見せてもらいました。
21,000 ヘクタールの広い公園を30名ほどのレンジャーで管理しているそうですが、手が回らないためにマングローブの木が不法に伐採されている所があちこちに見られます。ちなみに、マングローブの木はプノンペンでもよく使われている炭の原料で、需要が多いために伐採をすべて止めることはとても難しいようです。

ボートから陸地に上陸して、案内してくれたレンジャーたちに誘われ,村人の家で昼食をご馳走になりました。ジャックフルーツが家の周りに鈴なりに生っていて、金子さんには珍しかったようで一杯食べてました。果物を切る際に使用した包丁や葉っぱが食べた後で気になったようですが、お腹もこわさず幸いでした。前回の初訪問とはまた一味異なるお土産話しを持って帰国できた事と思います。生徒たちへのご指導有難うございました。

2月20日には、東南アジア巡回指導B班の皮切りとして金澤師範、小谷指導員がプノンペン入りされました。翌日21日午前中(9時~10時半)のセミナーは、学校、勤めの関係で生徒が参加できるかどうか心配でしたが、30名来てくれ両先生の指導を熱心に受けることが出来ました。特に、受けの構え、打ち込み方と受身を正確に行うことで、取り受け双方の練磨がより高められることを身体で示されました。生徒たちの受けの姿勢が良くなるよう今後更に注意しながら稽古していきたいと思います。

同日午後からは「アーク トゥール クラサング合気道道場」のオープニングセレモニーが、教育青年スポーツ省、カンダール州、ユニセフ及び日本大使館、J I C Aカンボジア事務所各代表の臨席を得て、開催されました。

カンボジア側からは、道場建設に対する感謝の言葉と今後への期待を込めた挨拶がありました。日本側の代表からは、この新しい合気道道場がカンボジアひいては世界の平和へ貢献できるような活動の場になるようにとの期待感が表明されました。この思いは、道場のドーネターであるアークの皆様の強い願いでもあり、道場を預かる者の一人として身が引き締まりました。

各代表によるテープカットの後、新道場での初めての合気道の演武を行いました。小谷指導員の座り技、投げ技の基本技から始まり、「カンボジア合気道クラブ」の各道場メンバーによる固め技、投げ技の演武が披露されました。プレックアンチャン道場の高校生たちは当初、選抜メンバーで演武する予定でしたが、午前中の金澤師範によるセミナーに参加した20名全員がやる気充分で道衣に着替えていましたので、急遽、普段の稽古のままをお見せすることにして、全員参加による演武となりました。この為、初心者の生徒は戸惑った動きをしていたようですが、今後も稽古を続けていく上で、良い経験になったことと思います。

最後の締めの演武を金澤師範にお願いしましたが、本部道場からお出でいただいたプロによる合気道の技を出席された皆様も充分に堪能されたようでした。オープニング セレモニーを盛り上げていただいた金澤、小谷両先生に改めて感謝申し上げます。メディアについてはテレビ局3社にだけ案内しておいたのですが、結局、5社が取材に見えた他、新聞社からの電話インタビューを受けました。

この式典の模様は同日夕方から翌日にかけてのスポーツニュースで、テレビ各局により一斉に全国放映されたことをご報告申し上げます。なお、新道場での稽古スケジュールを火曜日、水曜日、木曜日、金曜日の週4回に決め、3月1日より本格的に生徒募集を開始します。内、水曜日、金曜日の週2回を私が担当し、あとの2回は1級を持つアシスタント コーチ4名に指導を任せることにしました。10~16歳位の子供が中心となるようですので、こちらのメンバーと力を合せてあせらず、ゆっくりと育てていきたいと思います。

・アーク プレック アンチャン道場—不都合発生

突然、生徒数が増え、うれしい悲鳴をあげていたプレック アンチャン道場の床があちこち抜けてしまいました。一番上のカバーとその下のマットを剥がして床と床下の状況を確認したところ、床材はすべてどこからか持ってきた廃材を使用しており、ボロボロでした。コンクリートも通常の半分の薄さで砂が表面に浮き出ている箇所もありました。セメントでも大分、材料費を浮かしたものと思われます。アークからは充分すぎるほどの建設資金が仲介者の日本人の方に渡されており、かなり立派な道場ができて当然のはずでした。

しかし、建設工事中に工事内容を誰もチェックしなかった為に、建設業者は好きなように手抜き工事を行えたようです。生徒数も増え、そのままにも出来ないのでなんとか修理して再開できるよう準備に入りました。幸い、昨年私が一時帰国した際に合気道仲間の皆様からアークへ寄付いただいた分を、カンボジア合気道クラブの活動資金として使ってよいとの申し出がアークより寄せられ、有難くお受けしました。

この貴重な資金とJICAより提供されるシニアボランティアへの活動資金と合せて、なんとか修理できそうです。早く、修理工事を進め生徒たちが又、元気に稽古にはげめるように致します。皆様から寄せられたご支援に、改めて感謝申し上げます。
  

2.カンボジア・トピックス

・停電多発
東芝合気道部の金子さんが滞在中にも市内のレストランや私の自宅で停電が起こりました。恐らく、今の日本ではめったに経験出来ないと思いますが、こちらで生活していると良くあります。昭和20年代の日本と同じで、子供の頃にタイム スリップしたように感じます。私が住むレス ジャルデンス ドゥ バサックでは停電すると直ぐに自家発電へ切り替えますので、冷蔵庫の中のミルクや生ものが腐ることはありません。

一般の家庭では電気冷蔵庫はあまり普及しておらず、氷を入れたアイスボックスでミネラルウォターやジュースなどを冷やしています。クメールの方は停電に慣れているようで、稽古中でも慌てず静かに回復をまちます。但し、一度停電すると直ぐに回復することはありませんが。

増え続ける電力需要に供給が追いつかないことが最大の理由ですが、水力発電への依存度が高く、乾季で殆ど雨が降らないことも停電に拍車をかけているのでしょう。プノンペンでは、15万世帯が電力供給契約を電力会社と結んでいて、120メガワットの需要があります。この内、昨年だけで2万2千世帯が新規に契約していて、電力会社には110メガワットの供給能力しかありません。

従って、ある地域で2時間送電すると、他の地域で送電をストップすることでやりくりしているようです。民間の電力会社がディ-ゼル燃料を使った発電事業を3月15日から始める予定で、1日32メガワットの電力が供給されます。更に、雨季に入れば供給も改善され停電も少なくなることでしょう。

・メコン流域共通観光ビザの発行

観光省は、カンボジアと中国、ラオス、タイ、ベトナム、ビルマの6ヶ国が共通の観光ビザ発行を検討することに同意したと発表しました。これが実現すれば、EU圏における共通ビザと同じように「大メコン半地域」ビザをそれぞれの国で取得すれば、6ヶ国内を自由に旅行できるようになります。

2004年にカンボジアを訪れた旅行者の数は、100万人の大台に乗りました。タイの1,200万人に比べればわずかですが、このシングルビザが使えるようになり、更に、航空便の本数が増えれば、2010年までには600万人へ増えると期待しています。

2005年末までには、6ヶ国すべてがこのシングルビザ計画を承認する見通しで、より多くの観光客の訪問が、この国の経済発展と国民の生活向上につながるようであれば、何もいうことはありません。 
    
カンボジア合気道クラブ
工 藤  剛

第18回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2005年2月号の転載です。
?-

「カンボジア通信 February 1, 2005」

1.結婚式たけなわ

乾季に入るとカンボジアでは、雨が降ることもなく比較的過ごしやすい季節となり、各地で結婚式が盛んに行われるようになります。特に、12月から1月にかけて暑さが和らぐ頃になると、街のあちらこちらで結婚式用のテントを見かけることが多くなります。

ご多分にもれず私も1月8日と16日の2回、結婚式に呼ばれました。
最初は同僚のラブート氏の次女、二ミット嬢(23歳)の結婚式で、彼女は私の稽古にも最初から参加し、ハノイでの合気道演武大会にも連れていきましたので、心より祝福しての出席でした。胃が弱くて身体も細く、病院へ見舞ったこともありましたが、熱心に稽古に励み、良い伴侶にも恵まれ晴れの日を迎えることができました。

式場は花嫁の実家を使うケースも多いようで、我々が普段稽古をしているバクセイ・チャムクロン・クラブの自宅兼道場で披露宴が行われました。
我々、日本人は夕方から始まる披露宴に出席するのですが、家族付き合いのラブ-ト家のお祝いということで、朝に行われる行事にも参加してみました。披露宴で使われる果物、野菜、食べ物などを盛った器が500m位離れた場所に用意され、多くの人がそれぞれの器を捧げ行列して式場まで行進します。果物、野菜、食べ物と器の順番が決められていて、私の器は笹餅のような食べ物でしたので、後ろの方の列に連なり行進しました。

街で同じ行列を見かけることがありますが、日本人1人が列に加わりこの国のしきたりを初めて経験することができました。夕方六時半から始まった披露宴では、十人掛けのテーブルに全員が揃い次第、料理が出始め、一通りコースが終わると最初の客は退席します。すぐに、テーブルがセットし直され、次の新しい客を迎えます。入れかわり立ちかわり招待客が来ますので、その間、花婿、花嫁とそれぞれの両親は出入り口でお客様への挨拶のため、立ち続けます。
花婿、花嫁不在の中で、歌手によるクメール・ソングや掛け合い漫才のにぎやかな声が式場内に響き渡り、招待客はひたすら飲み食いと話しに精を出すといった状況です。

9時位になって、やっと新郎、新婦によるケーキカットが行われ、全員による祝福で盛り上がります。後は、クメールダンスの輪ができ、生徒に教わった独特の手と足の動きを真似て、私も踊りに加わりました。貴方のクメールダンスは良いと誉めてくれる人もいました。かくして、披露宴はいつ終わるともなく夜が更けていきます。多くの武道関係者と共に日本人、フランス人などの合気道稽古仲間も参加し、新郎、新婦を祝福しながら、楽しい一夜を過ごすことができました。
もう一つの結婚式は衝撃の招待状から始まりました。実は、40歳代の女性コック、ピエップさんをSV仲間の林 千秋氏(空手道コーチ、飯田市出身)とシェアーしているのですが、彼女から招待状が渡されました。妹が5人いますので、妹の結婚式かと尋ねると自分の結婚式との答えでした。彼女はもう大分前に医者をしていた最初の夫を亡くし、それ以来、日本人の家でコックなどをして一人で生きてきました。

この国の男性は初婚の場合でも30歳を超えた女性に声を掛けることは殆どなく、40歳以上の女性の結婚式にでる機会はまずないと言ってよいでしょう。連れ合いの男性も我々が住んでいるバサック・ホテル内のJICA関係者の運転手を勤める方のようで、同世代ということで知り合ったようです。

林さんとの車に同乗を頼まれたメイドさん二人を同行しましたが、彼女たちも妹の結婚式と信じていたようで、式場となったタケオ州のピエップさんの実家で、花嫁席に鎮座する本人を見てたまげていました。私は思わず笑ってしまいました。というのも、メイドの一人は34歳独身で、いつ結婚するのと尋ねると、30歳を過ぎた女性は一人では夫となる男性を見つけることはできないと嘆いていたからです。彼女にとって、40歳を過ぎたピエップさんの花嫁姿はかなり刺激的だったようです。
       

合気道活動報告—うれしい悲鳴

先月号で新道場「アーク・トゥール・クラサング道場」の立ち上げと生徒の人数にこだわらず内容の充実に努めると報告したばかりですが、1月に異変が起こりました。「アーク・プレック・アンチャン道場」は昨年秋頃、生徒数が激減したため、入口に案内用の看板を掲げ募集を促したところ、35名くらいに戻り安定していました。

ところが、1月中に中学生中心に50名ほどの新たな登録がありました。理由は良く分りませんが、最初から稽古してきた生徒たちの紹介や口コミで合気道場の存在がこの地域内に広まってきたためと思われます。他の2道場と新道場のスケジュールの関係で私の指導時間を増やすわけにもいかず、最初からのメンバー4~5名が初心者クラスの指導を行うことになりました。

急に生徒数が増加し、戸惑っているところですが、落ち着くまで少し様子を見ることにします。この煽りで、新道場の立ち上げも少なからず影響を受けており、稽古開始は2月初めからとなりそうです。同僚のラブ-ト氏によれば、30~40名位の生徒が参加するようです。

2月21日(月)に本部道場から金澤師範、小谷指導員をお迎えして開催するオープニング・セレモニーでは、新しい生徒たちの元気な姿をお見せできるかと思います。 楽しみにしております。
  

カンボジア・トピックス

*交通事情

通常、私が稽古指導に出かける時はラブ-ト氏とカー・レンタル契約を結んでおり、彼の車を利用しています。それ以外の時は主にオートバイ・タクシー(通称、モトドップ)とシクロ(人力車)を利用することもあります。モトドップ、シクロは一回2,000~3,000リエル位で、日本人にはかなり格安な乗り物です。タクシーは空港やホテルで呼ぶことができますが、市内を流すタクシーは稀で、殆ど利用することはありません。

近年、急速に自動車の数が増え、朝夕の通勤時間帯にはかなり交通渋滞するようになりました。路上は、オートバイ、シクロ、自転車、自動車に行商の手押し車などが雑然と行き交い、かなりの混雑です。特に、バイクは免許制度がないため、誰でも簡単に利用しており、交通規則やマナーは無きに等しく、衝突事故を起こしたり、転倒したりは日常茶飯事です。市内では混雑の中でスピードが出せないためか死亡事故は少ないようですが、アーク・プレック・アンチャン道場に通う国道6号線では、バイクの死亡事故を一度だけですが目撃したことがあります。

このような状況もあり、JICA事務所では職員、専門家をはじめ我々ボランティアにも自分で車を運転しないよう勧めております。安全面からの理由と交通事故時に我々外国人が交渉に参加すると、こちらの車に責任が一切ない場合でも、もつれることが多いからと聞いています。

経済財務省によると8万台を超える車輌所有者の内、2004年に自動車保有税を支払った人はわずか3,000名に過ぎないそうです。自発的に税金を支払えば追徴を課すことはしないと税務当局は徴税促進に努めていますが、より効果を上げるためには反則者の取り締まりを強化せざるを得ないとしています。

ところが、政府の高官などが軍や警察が使用するプレートナンバーを悪用して税金逃れをしていると野党議員は非難しており、税務面での中立公正さがここでも強く求められております。  
    
カンボジア合気道クラブ
工 藤  剛

43代追い出しコンパ終了

1月29日土曜日に43代の追い出し稽古、コンパが終了しました。
午後には菅原先生によるご指導と、43代菊本先輩の二段昇段審査があり気合がかなり伝わってきました。
コンパでは久々にすべての先生がたが参加されました。ありがとうございました。
二年の延沢があいさつのとき泣きながら感謝の言葉を話すときには思わずほろりと涙が流れた人も多かったと思います。感動をありがとう!!
これで43代の先輩はOBとなりましたが、これからも稽古に参加して下さることを待っています。
お疲れ様でした。

第17回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2005年1月号の転載です。
—-

「カンボジア通信 January 1, 2005」

1.植芝吉祥丸二代合気道道主7回忌に寄せて

新年の1月4日は、二代道主の7回忌とうかがい時の流れの早さをしみじみと感じます。
平成10年の終わりと平成11年の新年を迎える恒例の越年稽古は、いつも通りに実施されるかどうか気をもみながら自宅で新年を迎える準備をしていたことを思い出します。
結局、越年稽古はいつも通り無事行われましたが、稽古終了後の直会は二代道主の病状を気遣いながら静かに早く終了したように記憶しております。  

現道主のお別れの言葉にもありましたが、二代道主は越年稽古と正月三ヶ日を強靭な意志で乗り切られ、4日に逝去されました。
我々が越年稽古を済ませ、新年を何ごともなく平穏に迎えることができるようにとの二代道主のご配慮をあらためて知り、胸が一杯になりました。

私はこの時の新年の鏡開きで6段位への昇段推薦を受けることになっておりましたが、鏡開きは急遽取りやめとなりました。我々に与えられる昇段免状も新道主のお名前によるものが新たに用意され、日を改めて平成11年1月20日付けの免状が本部道場にて授与されました。現道主による初めての昇段免状授与式となり、学生時代に開祖より初段に列せられて以来、二代道主、現道主と3代にわたって合気道との縁をつなぐことができ、この面からも思い出に残る新年となりました。

昨年、「秋の園遊会」へ道主ご夫妻がお揃いで招待され、またそれが合気道の民間外交への貢献が認められての招待とのことで、JICAを通じて海外で活動する我々にとっても嬉しい限りです。

海外普及に先鞭をつけられた二代道主の思いにいささかでも沿えるよう今後とも活動を続けていくことで悔いのない生き方ができれば、これに勝る喜びはないとの思いを二代道主を偲びつつ強めております。

    
2.国際松涛館空手道連盟 金澤弘和館長来カ

このほど、国際松涛館空手道連盟(SKIF)の金澤弘和館長と村上6段が初めてカンボジアを訪問され、第一回国際松涛館空手道協議会が開催されました。
12月8日?9日の2日間、パナサストラ大学を会場にパナサストラ大学スポーツアソシェーションの生徒による松涛館空手型の演武と金澤館長によるセミナーが行われました。

この際、「カンボジア合気道クラブ」もカンボジアの古武道と共に演武を披露するよう招請され、参加しました。平日の午前中の為、3道場よりメンバーを選抜し以下の内容で演武を行いました。

・.レス・ジャルディンス・ドゥ・バサック道場及びアーク・プレック・アンチャン道場メンバーによる固め技の演武
・.バクセイ・チャムクロング・クラブ道場メンバーによる投げ技の演武

最後は私の自由技演武で締めました。与えられた時間は15分でしたが、テレビ各局による全国放映もあって合気道にとっても良い宣伝になったと思います。

金澤館長は1931年生れで73歳になられたそうですが、1957年、1958年連続で日本空手協会(JKA)の全日本選手権組み手チャンピオンとなられた後、1977年に現在の「国際松涛館空手道連盟」を設立されました。その後も、SKIFの世界大会を世界各国で主催するなど活躍されております。

寒い日本から27度?28度と日本でいえば真夏日のプノンペンにこられ、お疲れのようでしたが、我々が稽古しているバクセイ・チャムクロング・クラブ道場にも来られて、空手メンバーを指導するなどのスケジュールをこなされて、無事日本へ帰国されました。

3.合気道活動報告

私がカンボジアに赴任して以来、私から初めて昇級免状を受けた生徒の数が12月に丁度100名となりました。すでに5級、4級を取得していたフランス人、トルコ人の3名以外はすべて初めて5級を取得した者の数です。

5級取得後に途中で来れなくなった生徒も数多くいますが、特に、女子生徒の場合、自分では続けたい気持ちが強いのに、親から仕事の手伝いを求められて止めざるを得ない生徒も多く、すべて家中心で日本の生徒のように自分の好きなことを好きなように出来る状況にはないようです。

平成14年11月の稽古開始以来、2年1ヶ月が経過しましたが、平成16年12月末現在の生徒たちの昇級状況は以下の通りです。この内、7名は週4?5回の稽古を続けております。

      1級   12名(内、クメール人 9名、フランス人 1名、トルコ人 2名)
      2級   15名
      3級   12名
      4級   26名
      5級   35名
      合計  100名

来年1月からは「アーク・トゥール・クラサング道場」も加わって道場も四つとなり、新しい生徒も増えて忙しくなりそうです。

これまでの2年間は徒に生徒の数を増やすことよりもクメール人のしっかりとした指導者を養成することに主眼を置いてきました。新しい道場のスタートに合わせて初心者指導を彼らに担当させ、更に指導者に相応しい技と資質を高めるようにしていきたいと思います。

年末年始はバンコクに滞在し、深草先生の練武館道場での越年稽古に参加しました。Mr.Freddy 率いるシンガポール合気道協会のメンバー12名他ラオスの松長さん、ハノイのVJCC SHUDOKAN 要田さんなども参集し、本部道場と2時間遅れの越年稽古で昨年同様に心地よい汗を流すことができました。

横須賀の合気会支部道場春陽会の服部夫妻も参加され、服部さん、工藤がそれぞれ20分指導し、最後を深草先生が締められて新年を無事迎えることができました。

稽古後の新年を迎えての直会もタイ人、シンガポール人、日本人に西欧人といつも通りに国際色豊かです。国籍、人種、性別などすべての垣根がどこかに飛んでいってしまい、まさに合気道ファミリーが形成されます。これこそが練武館道場での越年稽古の醍醐味なのでしょう。道友の皆様もチェンマイ観光を兼ねて、一度参加されることをおすすめします。

おりしも、プーケット、ピピ島、クラビなどタイの海岸リゾート地の災害状況をタイのテレビニュースで見ましたが、泥まみれの数知れない遺体やすっかり姿を変えてしまった海岸線などすべて想像を絶する惨状に息を呑まざるをえません。

日本人観光客も日本の新聞で報道されている以上の方々が災害に巻き込まれているようで、最終的に何人が犠牲となっているのかはっきりしておりません。新年を目の前に亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

4.カンボジア・トピックス

・ 幼児死亡率に改善みられず

国連子供基金の「世界の子供たちの健康調査」によると、カンボジアにおける5歳以下の幼児死亡率が1990年の1,000名当り115名から2003年には 1,000名当り140名へ悪化したと報告されています。

この数字は正確さに欠けるとユニセフのカンボジア代表は指摘していますが、隣国ベトナムの1,000名当り23名と比べても、カンボジアが東アジアのなかでは最悪の状況にあることは間違いないようです。

多くのアジアの国では生活レベルの改善、情報通信の発達、病気治療方法の進歩、予防注射の普及などにより幼児死亡率は急速に減少してきました。 

ところが、この国では依然として予算不足のために医療サービスのあらゆる面で遅れがみられ問題となっております。特に、緊急の課題となっているのが安全な水、学校、予防注射の利用が子供たちにとって充分でないことです。

合気道仲間で水資源・気象省でアドバイザーをしているJICA専門家の小林さんによると、プノンペン市内の水道の水は飲めるそうです(まだ私は試したことはありませんが、屋台のバケツの水で洗ったグラスで氷入りサトウキビジュースをおいしいと飲み干し、翌日なんともなかった花本嬢ならオット パンニャハ テー!!! 多分、水道の水で洗った果物でお腹をこわした照井さんにはとてもお勧めできません)。

但し、安全な飲み水を利用できるのは国民全体の34%、上下水道にいたっては16%にすぎません。ちょっと郊外に出ただけで、雨水を貯めておくための大きな水がめをすべての家々で目にしますので、池の水なども利用する地方での生活ぶりが想像できるかと思います。

予防注射のお陰で、はしかで死亡する子供の数は減りつつあるようですが、この国の子供の45%は栄養失調にあり、まだまだかなりの子供たちが貧困のなかで生活していることが分ります。また、小学校に入学した子供のうち6年生を終えることの出きる子供が、特に女子の場合は半分以下ということも、このような状況を反映していると思います。

World Vision, USAID など多くのNGOが保健省と共に活動を続けていますが、HIV/AIDS対策への予算と比べると、「子供救済計画」へ提供される資金はかなり少なめです。

資金の提供に加えて、保健省とNGOの連携を更に強めていくための戦略を明確にすべきとの保健省国立子供健康センター医者の指摘も今後の進展には欠かせないものです。

            カンボジア合気道クラブ    工 藤  剛

冬合宿終了

12月18日、冬合宿が終了しました。今回、初めて合宿の企画、運営を行った2年生にとっては得るものが多かったと思います。
また、46代の幹部指名式も行われました。1年生はその結果をそれぞれしっかりと受け止めていたように思います(特に打ち上げの席では)。

特に大きな怪我もなく合宿を終わることができ、ほっとしています。みなさん、お疲れさまでした。:-)

後期稽古終了

12月11日に後期稽古が終了しました。正式な稽古というとおかしいですが、これで稽古はとりあえず終了です。皆さんお疲れ様でした。
飲み会もたくさんのOBの先輩が参加してくださり、大変楽しい打ち上げになりました。ありがとうございました。:lol:

1.2年生は今週の水曜から冬合宿です。寒いですが怪我のないようにがんばってください。なお、一年生へ、三年も稽古に参加しますがいないものと思って、三年には稽古でつかないようにしてください。二年生と四年生以上の先輩につくようにお願いします。
それでは、楽しんで稽古してください!

第16回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2004年12月号の転載です。

「カンボジア通信 December 6, 2004」

水祭り

11月25日~27日の3日間恒例の水祭りが王宮近くを流れるトレンサップリバーで開催されました。今年はシハモニ新国王が河沿いに用意された国王席より初めて観覧するということで注目され、観光省も見学用の座席を増やし宣伝に努めました。

ところが、すでに雨季は明けたはずなのに何故か3日間連続でドシャブリの雨となり、大荒れのボートレースとなってしまいました。人出も昨年より3日間で100万人も減少したようで、雨の影響以外にも干ばつに見舞われた州があって、プノムペンに出てくるための現金収入の道が絶たれた村人が多かったようです。

この為に、参加したボートの数も昨年の400隻から382隻に減り、レースに参加したボートも大荒れの天候の中で記録を更新するボートはゼロ、43隻が沈没するという記録ずくめの大会となりました。

ところで、各レース毎の優勝チームには100ドル、2位に75ドル、3位に50ドルの賞金が出るほか、優勝チームの全員に米25kgが商品として支給されます。この3日間、河の両岸にはにわか露店があふれ稼ぎに励むのですが、あるヌードル屋さんは例年なら1日25ドル稼げるのに2ドルの稼ぎしかなかったと嘆く姿が報道されていました。

しかし、この雨は干ばつの被害に苦しむ各州の人々にとっては待望の恵みの雨となったようです。就任以来、各州を頻繁に訪れ彼らの力になろうと努力する新国王の願いが通じたのではとまことしやかに話す者もあったと聞いております。

アセアン・サミット開催期間中、ラオ・ユース・ユニオン道場での活動が出来なくなった松長さんがビエンチャンよりアンコール・ワット観光を兼ねてプノムペンを訪れ、拙宅へ3泊されました。リバーサイドのポンロー・レストラン2階席に案内し、ランチを取りながら2日目のボートレースの賑わい振りを見てもらいました。昼過ぎまでは雨が降ることもなく、沈没するボートを目にすることは出来ませんでした。

松長さんには、26日の夕方と27日朝の2回、こちらの生徒の稽古指導をお願いしました。水祭りの三連休で参加者は少なめでしたが、他の道場の先生の技に触れることで刺激を受けたようで今後の稽古に生かしてもらえればと思います。
    

新合気道道場ついに完成!!!

12月3日、ついに新道場の正面玄関の上に「アーク トゥ‐ル クラサング 合気道道場」の看板が取り付けられました。カンボジア合気道クラブ代表のラブート氏が自ら筆を取り描いたものでユネスコカンボジア事務所や日本大使館からもパンフレットやポスターの作成仕事を頼まれる彼の技量が生かされたものです。

プノムペンで購入したゴム製のマットを板を敷きつめた台座の上にひきましたが、当初予想したより弾力もあり、それほど硬くもなく稽古するには支障なさそうです。早速、12月中に生徒募集を行い、切りの良い新年早々から新道場での稽古を開始する予定です。

幸い、2月中旬には本部道場による東南アジア巡回指導が行われると聞いております。本部道場の先生が来られるスケジュールに合わせて、新道場のお披露目ができればなりよりです。また、来年9月には「アーク」による学校と新合気道道場の贈呈式も予定されており、また多くの方がお見えになるようで、カンボジア合気道クラブのメンバー皆首を長くしてお待ちしております。

この新道場を建物の立派さに負けないようなカンボジア一番の合気道道場にしていくことが任期終了日までの私の大きな使命と、あらためて気を引き締めている所です。これまでの皆様からの物心両面にわたるご支援、ご協力に心より感謝いたしますと共に引き続き我々の活動を見守り下さいますよう重ねてお願い申しあげます。  

カンボジア・トピックス

1. 干ばつの被害

このほど、フンセン首相は干ばつの被害を受け食糧不足に直面している現状を踏まえ、穀物備蓄をすすめる為に、精米していない米の輸出を禁止することにしました。

通常、農民たちは精米していない米を1kg当り400~500リヤル(12~15円位)でタイ、ベトナムなどの隣国のブローカーやバイヤーに売り渡し、その後彼らから精米を1kg当り1,000リヤルで買い戻します。農林水産省の担当者は穀物不足に重大な影響を与えるほどの量が輸出されている訳ではないと弁明していますが、政府としては干ばつの被害を少しでも和らげようと懸命の対応をしております。

フンセン首相も各州の村々をヘリコプターで飛びまわり、干上がった田畑を灌漑する為の機械や燃料を配り、裸足、ズボン姿で自ら灌漑用水池のなかを歩くなどのパフォーマンスの様子がテレビニュースでよく見られます。

農水省の説明によると各地に灌漑用のポンプと燃料を配り、井戸を掘るなどの対応により200万ヘクタールの水田のうち10~15%が被害を受けるにとどまるとしています。

支援米の横流しという不祥事により穀物援助を一時ストップしていたWFP(世界食糧計画)も11月11日より援助を再開し、コンポンスプー、プレイ・ベーン、カンダール、タケオなどの州へ1,000トンの米を配布しました。
飢えて苦しむ人が少ないと良いのですが。

2. カンボジア支援国会議始まる

フンセン首相は先月開かれたビエンチャンでのアセアン・サミットにおいてラオス、ベトナム両首相と共に小泉首相と会談し、それぞれの国に関連する開発マスタープランを提示し、支援を求めました。これに対して小泉首相は専門家を派遣し、この3ヶ国のトライアングル開発計画を精査した上で支援することを約束したそうです。

さて、12月6日~7日の2日間、注目のカンボジア支援国会議がプノムペンで開催されます。
かねてより支援国グループと世界銀行、IMFなど多くの国際機関が行政、司法改革を強く求めてきており、現政権担当者の意識がどうかはっきりしませんが、改革をいかに進めるかがこの国の死活問題となっております。
現在、政府が進めている改革プログラムは以下の4つの部分から出来ています。
 1.国家予算の透明性
 2.信頼できる金融システムの構築
 3.優先すべき政策に充分な時間をかける議事日程の設定
 4.政策遂行に当たる政府閣僚の説明責任の明確化 

改革を1980年代より進めてきた結果、経済面での規制緩和、安定化では大きな成果を遂げ、1990年代以降は6~7%の経済成長を達成できたと、フンセン首相は強調してきました。
  
しかし、多くのNGOと市民グループは汚職は相変わらずで貧困と人権侵害も広くはびこったままであると非難し、ドナー各国が更に政府に圧力をかけるよう強く求めています。経済財務省の金融改革プログラムによると国家予算のコンピュター管理の導入、会計検査局による検査結果の公開などを2015年までに“ステップ バイ ステップ”で進めていくとしており、改革のスピ-ドはメコン河の流れのようにゆっくりとしたものとなりそうです。 
  
  
 カンボジア合気道クラブ
        工 藤  剛