東北大学学友会合気道部サイト開設
OBと現役の交流をはかり、またパブリックな情報発信としても使用できるサイトを目指して開設します。
現役部員はもちろん、OBからの情報提供が不可欠です。
よろしくお願いいたします。
🙂
35代 伊藤
OBと現役の交流をはかり、またパブリックな情報発信としても使用できるサイトを目指して開設します。
現役部員はもちろん、OBからの情報提供が不可欠です。
よろしくお願いいたします。
🙂
35代 伊藤
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2004年5月号の転載です。
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「カンボジア通信 May 5, 2004」
1. 四月 - クメール正月 & 鎮魂の月
こちらは暑い盛りで、なるべくクーラーは使わないようにしていますが、室温が32度もあり寝る時はさすがに30分程度クーラーのタイマーをセットしておかないと眠りずらい夜が続いています。6月には涼しい日本へ一時帰国をする予定ですので、5月末まではやせ我慢せざるを得ません。
さて、四月のクメール正月(13日~15日)は終了しましたが、この間、今年も例年通り交通事故や火事が多発したようです。
プノムペン市内でも7名死亡、8名重傷となる8件の交通事故が発生しました。一方、地方へ帰省する旅行者で各国道もかなりの混雑で、スピードの出しすぎと飲酒運転も増えるために各地とも同様です。
ところで、この四月はカンボジアの為のボランテイア活動中に犠牲となられた2青年を鎮魂する月でもあります。1993年4月8日にコンポムトム州で活動していた国連ボランテイア(UNV)中田厚仁さんがポルポト派と思われる兵士に襲撃を受け、殺害されました。同氏はUNV選挙監視日本人ボランテイアとして活動されていましたが、まだまだ治安が悪い状況下で自分を守る術はなかったものと思います。
当時、日本人会の会長をされていた馬清氏(現在、JHP・学校をつくる会プノンペン事務所所長)は、UNTAC病院の冷蔵コンテナに安置されていた中田さんとクメール人スタッフの2遺体と対面し、「花束を添え、同行してくれた人達と共に線香を上げ、法華経を読み、題目を上げる。」(馬清著、私見~カンボジアでの十三年~)という体験をされました。
奇しくも、この4月8日にヨルダンのアンマンからバクダットへ向けて陸路移動中の日本人3名が武装グループに拘束され、大騒ぎとなりました。各方面からの働きかけと本人たちの活動ぶりが効を奏し、幸い無事解放されましたが、その後拘束され解放された2名も含め、こちらの新聞でも“jiko sekinin”の言葉と共に彼らに対する日本での様々な反応ぶりが紹介されました。
今回の事件は、外務省より避難勧告が出ている危険地域でのボランテイア活動への大きな問題提起になったようです。多くの困難に直面しているイラク人の為の支援活動という動機は尊重されるべきものです。
しかし、安全にいくら気を配ると言っても、結局は、自分の身は自分で守るしかない以上、特に紛争地域でのボランテイア活動にはそれなりの覚悟が必要であることを再認識させられた事件となりました。
1981年4月16日には、タイ国境の難民村アランヤプラートでJVC(日本国際ボランテイアセンター)の活動をされていた3名が強盗に襲われ、西崎憲司さんが亡くなりました。また、1993年5月4日には、文民警官の高田晴行氏がタイ国境近くのバンテイ・ミエンチェイで殉職され、PKOによる日本からの派遣要員の最初の犠牲者となったことを記憶されている方も多いと思います。
志半ばで亡くなられた3名の方のご冥福をあらためてお祈り申し上げます。
2. 合気道 - ハノイ・東南アジア地域合気道演武会&セミナーと(財)合気会からの道着提供
4月17日にベトナム日本センター(VJCC)主催による「ハノイ・東南アジア地域合気道演武会&セミナー」が開催されました。カンボジア合気道クラブからもJICAカンボジア事務所の支援を受けて、クメール人生徒2名を含む4名が参加できました。
ラオスから青木さんと生徒6名、タイから深草先生と生徒2名、シンガポールからMr.Freddy Khong と生徒3名が参加、日本からは堀添7段(法務省合気道部)、市塚6段(埼玉合気会)、鈴木甫6段にJICA合気道部のメンバーも参加されました。また、奈良県支部の窪田先生は急遽来れなくなりましたが、立川3段、田中2段の女性2名が大会に彩りを添えてくれました。
ベトナム各州から合気道クラブが勢ぞろいし、東南アジア6ヶ国によるハノイでは初めての大きなイベントとなりました。演武会はVJCC橋本所長の開会宣言と来賓の挨拶の後、VJCC合気道クラブ56名による演武で幕を開けました。
ベトナムからは、フエ、ダナン、ダラット、ホーチミンなどの州から8クラブの参加で、それぞれの歴史を表すような特色ある演武が披露されました。この国において発展してきた合気道の多様性がうかがえました。
次ぎに、カンボジア、日本、ラオス、シンガポール、タイの順で演武が行われ、我が生徒2名も普段の稽古どおり演武をこなしてくれ、安心しました。
最後は、鈴木6段、市塚6段、堀添7段の演武が続き、深草先生がトリを務められ、すべての演武を無事終了しました。
堀添初代ベトナム日本センター所長が、ベトナム合気道の統一的発展に思いを込められて閉幕の挨拶をされましたが、会場となったハノイ貿易大学体育館の観客席もほぼ満員で、記念となる良い演武会でした。
主催者側の要として奮闘された要田正治さん(VJCC合気道クラブ代表)を始め、ベトナム日本センターの関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。
更に、16日、18日の2日間、日本からの3先生と私、青木さん、深草先生の担当で、計6回のセミナーも開催されました。
ベトナムの道友たちも、これだけ多くの先生に一度に指導を受けたのは皆初めての経験のようで、それぞれのセミナーで興味を持って稽古していたようです。私のセミナー終了後は、ベトナムの道友から記念写真を何度もせがまれ、少しは役に立てたようでほっとしました。演武会終了後にベトナム各州からの合気道クラブによる会議が開かれ、我々もオブザーバーとして同席しました。
ベトナム合気道界を代表する連盟の設立が大きな課題となりますが、各クラブの代表者が全員揃っていた訳ではないこともあり、今後、話し合いを続け検討していくことになりました。我々も、ラオス、ベトナムなどと協力関係を強めながら、アジア合気道連盟への加盟をめざして参ります。
この後に開かれたバオサンホテルでのレセプションパーテイは、大いに盛り上がりました。特に、若いメンバーは国籍、言語、性別関係なく、合気の和・輪の中で国毎の踊りを披露したり、歌い、しゃべりでまさに一体となって楽しんでいました。合気道を通した文化交流拡大の可能性をあらためて確信することが出来た良いイベントとなりました。
この程、あなたのやさしさを世界へ!「世界の笑顔のために」というJICAの資機材輸送支援プログラムを利用して、(財)合気会より道着80着がカンボジア合気道クラブへ寄贈されました。このプログラムはJICAのボランテイアを通して海外から要望のあった物品を日本国内で募集し、現地へ送るもので、JICA指定先への日本国内物品輸送料を負担いただければ、海外への輸送料は現地での通関手続きも含めJICAがすべて負担していただけるものです。
4月22日、バクセイ・チャムクロング・クラブ道場での稽古前に道着80着の贈呈式が行なわれ、JICAの大熊調整員よりカンボジア合気道クラブ代表のナング・ラブート氏へ道着が手渡されました。この模様は稽古とあわせて、CTNテレビ局のスポーツニュ-スで放映された他、Kampuchea Thmey Daily にも写真入りで紹介されました。
JICAとの窓口となり、いろいろご手配いただきました(財)合気会総務部の栗林先生をはじめ関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
なお、知り合いのJICAボランテイアへ物品を送り、支援されるような場合は、以下のホームページを参照下さい。
http://www.jica.go.jp/partner/smile/country.html
カンボジア合気道クラブ 工藤 剛
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2004年4月号の転載です。
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「カンボジア通信 April 4, 2004」
1. 日常生活 - クメールお役所仕事
日本では景気回復が確実なものとなりつつあるなかで、新入社員や新入生が街にあふれ、昨年よりは明るい新年度入りを迎えたことと思います。
こちらも、4月はクメール正月(13日~15日)の季節です。4月入りと共に正月を迎える準備が始まり、休みを利用してシエムリアップや各州へ出かけるメンバーも多く、なんとなく慌ただしい雰囲気になります。私は15日よりハノイでの合気道演武大会&セミナーに参加し、東南アジア地域から集まる道友と共に正月を迎える予定です。
ところで、ハノイへ同行するクメール人2名のパスポートとビザの手配をしているところですが、この国の役所とかかわる度にいやな思いをすることになります。クメール人が通常パスポートを取得するには、2~4ヶ月分の給料に相当する100ドル位かかるそうで、パスポートを保有する人は稀です。今回は、ベトナムの日本センター(VJCC)主催の文化交流行事ということで、VJCCの招請状をつけてパスポートを申請しております。VJCCの公式行事への参加ということで、パスポートの無料取得が認められるからです。ところが、この手続きを進める過程で申請書類に何人かのサインを貰う際に、それぞれUnder-the-Table Fees(非公式の手数料、賄賂?)を要求されるのが常です。無料のはずが各パスポート毎に35ドルと領収書なしの経費が発生してしまいます。
我々にとってこの領収書の出ない支出が困ります。生徒へ負担させる訳にもいかず、結局、自分のポケットから出すしか処理の方法がないからです。
この国では、賄賂や収賄で逮捕されたとか罰せられたという話しを聞いたことがなく、中央官庁から地方行政組織に至るまで、このようなことは日常茶飯事のことのようです。
あるフランスの調査機関の調べでは、輸入品の通関の際の査定額を極端に低く見積もり便宜を図る為に、本来、国家歳入として納められるべき税金の28%が失われていると報道されていました。車の数も年々増え、ガソリン輸入量も間違いなく増加しているにも拘わらず、ガソリン税収は逆に減少しているようです。
役人の給料が安い為に、このような事が起こるのでしょう。国に入るべき歳入をきちんと確保し、その後に給料も上げていくのが筋なのですが、長い間に慣れ親しみ、この国の隅々にまで染み付いてしまった行政慣行を良い形に変えていくことは本当に難しいことです。
毎年、カンボジアの支援グループ会議が開かれ、この国の行政システムや司法制度改革の進捗状況をチェックした上で、支援額が決められております。2001年には政府要望額500百万ドルに対して615百万ドル、2002年には635百万ドル(政府要望額485百万ドル)と決められました。これまでの会議ではいずれも、政府の改革に対する取り組みがまだまだ足りないと支援国は批判してきました。
カンボジア政府は近い内に開かれる予定の今年の支援グループ会議に対して、今後3年間に15億ドルの支援を求めるようですが、教育や健康・保健といった国民に直結するような分野へより多くの支援金が使われることが望まれます。
各国からの支援金による援助をより効果的なものとし、真に国民の生活が改善していくようにするには、このような問題の解決は避けて通れないことだと痛感させられます。
2. 合気道-昇級試験&神奈川新聞社による取材
稽古を始めて約1年半が経過しましたが、3月に昇級試験を行い、クメール人の中からも2級取得者10名が誕生しました。全員、当初より稽古を続けてきたバクセイ・チャムクロング・クラブのメンバーですが、来年には黒帯へ挑戦出来るよう頑張ってくれることでしょう。これらのメンバーが近い将来、「カンボジア合気道クラブ」の指導者として、この国における合気道普及の中心となってくれる筈です。
ちなみに、3月末現在のメンバーの昇級状況は以下の通りです。
5級 24名
4級 22名
3級 21名 (内、アーク・プレック・アンチャン高校生:14名)
2級 13名 (内、フランス人:2名、トルコ人:1名)
計 80名
今後とも、日々の基本を中心とした稽古、ラオス、タイ、ベトナム、シンガポールなどの近隣諸国との交流稽古や本部道場からの東南アジア巡回指導などを通して、更にメンバーのレベル向上を目指して参ります。皆様のご指導、ご支援をよろしくお願い致します。
3月に神奈川新聞社の高本記者がカンボジア,ラオス、ベトナムに派遣され、神奈川在住のシニア・ボランティアと専門家、青年協力隊員の取材を行いました。合気道については、3月23日にバクセイ・チャムクロング・クラブ道場での稽古取材に見えました。稽古の様子を熱心に撮影された後、カンボジア合気道クラブ代表のナング・ラブ-ト氏を交えて、約1時間インタビューを受けました。シニア・ボランティア(SV)としてカンボジアで合気道指導をすることになった経緯やこの国での合気道の現状について詳しく説明しました。
取材記事は4月中旬以降にシリーズでJICAのもとでの我々の活動状況を紹介していく予定です。神奈川在住の方で記事を目にすることがありましたら、どなたか、その記事をメールしていただくと有難いと思います。
3.緒方貞子JICA理事長による現場視察
昨年10月1日に新生「国際協力機構」の初代理事長に就任された緒方さんが、JICA事業の視察とカンボジア側関係者との協議を行う為に、カンボジアを訪れました。緒方理事長は就任以来、JICA本部から現場への派遣を推進され、現場中心主義を強く打ち出されております。
現場視察の皮切りにカンボジア,ベトナムを選ばれたそうです。カンボジアでは、フンセン首相、各省大臣との協議のかたわら、地雷の事故が一番多いバッタンバン州の地雷処理現場を始め、プノムペン港のインフラ状況の視察、更に専門家、SV,協力隊員が活動している病院や孤児院などの視察を勢力的にこなされました。
その行動ぶりは、76歳のお年を微塵も感じさせないもので、これまでの紛争地域各地での活躍ぶりもさも有りなんと現場で働く皆が感じたと思います。
我々との懇談の機会も作っていただき、身近に理事長の謦咳に接することができました。私は簡単に自己紹介で済ませたのですが、同じテーブルのSV仲間で仕事が思うように進まないと悩みを訴える方までいて、時間オーバーで最後のテーブルまで回れなかったほどでした。
「物事が進みにくい国に来られて、苦労されていますね。」と慰めの言葉を残されて、懇親会場を後にされました。日本帰国後すぐにアフガニスタンを訪問されるとのことで、
その後のベルリンでのアフガニスタン支援国会議で4億ドル追加支援発表をされる姿がテレビニュースで報じられていました。気さくに話し合いに応じてくれましたが、国際会議の重要な場で通用する数少ない日本人の一人にお会いできるという良い機会に恵まれました。
カンボジア合気道クラブ 工藤 剛
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2004年3月号の転載です。
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「カンボジア通信 March 8, 2004」
1. 日常生活 - 暑い季節も目の前に
日本は啓蟄も過ぎたというのに各地での大雪で、まだ気候も安定してないようです。でも、今年は桜の開花予想も早いようで春遠からじでしょう。
こちらは3月入りした途端に室温が30度を超え始め、いよいよ1年で1番暑くなる4~5月へ向けた日々が始まりました。2月末までは夜寝ていても汗をかくこともなく過しやすい毎日でしたが、これからは暑さとの共存となります。稽古で良く汗を流すことが、この国での体調管理には1番のようで、日々の稽古を大事にしていこうとあらためて気持ちを引き締めております。
関西地方を中心に鳥インフルエンザの感染拡大が続き、カラスまで感染していることが判明したりで、皆様の関心も高まっていることと思います。
そこで、こちらの現状もお伝えしておきましょう。アジア地域では10ヶ国で鳥インフルエンザが発生していますが、このうち、2月中旬までに報告されている死者の数はベトナムで15名、タイ7名の計22名です。この2ヶ国以外では死者は報告されていません。
その後は、ベトナム、タイでも新たな死者は出ていないようで、封じ込めに成功しつつある地域が増えつつあるとのことです。ベトナム,タイではこれまでにそれぞれ4,000万匹、3,800万匹の鶏が処分されました。昨年のSARSの際と同様、WHOの各国事務所も監視体制を強め、なお事態を見守り続けているところです。
カンボジアもベトナムとタイに挟まれている国だけに影響は免れず、地方での発生が報告されました。しかし、ベトナムから運び込まれようとした鶏卵を没収し、処分するなど、それなりに対応はしているようです。
プノムペンは都会ですし、我々が直接生きた鳥に触れることはまずありません。卵、鶏肉も加熱した料理しか口にしませんので、普段の生活で特に気になることはありません。JICA事務所の健康相談員も手洗いとうがいを励行し、生きた鳥に接触しないよう指導している程度です。
こちらへ来られる方は、韓国の男性を魅了した「喜び組」の女性がいる北朝鮮レストランの焼肉やクメール料理を安心してお楽しみいただけると思います。
2. 合気道-「合気道・東南アジア地域演武会&セミナー イン ハノイ」準備たけなわ
1月にご案内しましたベトナム日本センター(VJCC)主催によるハノイでの合気道演武大会&セミナーの開催準備が佳境に入ってまいりました。日本からは東京の堀添師範(VJCC初代所長)、奈良の窪田師範をはじめ大宮道場の市塚先生も参加されるそうで、VJCC合気道クラブのメンバーも案内状の作成、発送や先生方の受け入れ準備などに忙殺されております。
今回のハノイでのイベントは、ハノイの要田さんを始めとしてラオスの青木さん、カンボジアの私を含むJICAの関係者が中心となって、東南アジア地域内での合気道を通した文化交流をこれまで以上に発展させようと企画したものです。
JICA東京本部でもシニアボランティア、青年海外協力隊員などの活動をより効果的なものにするという目的から、この企画を積極的に支援してくれることになりました。これにより、私と青木さんはJICAの「広域研修制度」による業務出張が認められました。それぞれ、カンボジアから生徒2名、ラオスから生徒5名を連れてハノイへ行けることになり、皆張りきっているところです。
昨年11月1日のプノムペンでの第一回日本武道演武大会、11月22日のビエンチャンでの第二回日本武道演武大会に続く今回のイベントを通して、東南アジア地域における合気道の和、輪が更に広がることを期待しております。日本では毎年恒例の仙台合宿が4月17日~18日に実施されるとのことで、海外遠征は無理な方が多いと思いますが、この記念すべきイベントへの参加、ご支援も是非ご検討下さい。
3.国家予算 - あってないようなもの
この国でも各省庁の予算は予算法により国会で毎年決められていますが、実際の支出をみるとバラバラのようです。一般の国民に直接関係の深い省は社会省、教育省、保健省、地域開発省の4つです。
ところが、この4つの省が2003年度に実際支出した金額はいずれも当初決められた予算を下回っております。
主な省庁の予算支出は新聞報道によれば、以下の通りです。
省庁名 当初予算(百万ドル) 支出率(%)
教 育 省 80.7 79
保 健 省 50.5 59
地域開発省 5.25 54
金 融 省 12.6 199
内 務 省 4.1 167
昨年度はSARSによる観光収入の減少、ビザ、通関収入の減少に見舞われ、歳入が不足するなかで、国防支出や内務省の支出の突出が目立ちました。
一方、教育省による予算の支出が問題のようで、学校の先生の賃金体系は極端に悪く、月給25ドルの金額ですら1月分がまだ支給されていないと報じられていました。この為に、私塾を開いて稼いだり、なかには、モトドップドライバーのアルバイトに精を出したりで、本来の教師としての職務を果たすことが出来ない先生も多いようです。
日本を始め各国のNGOやボランティヤ団体が学校を建て、寄贈していますが、子供たちへの教育をより効率的に運営していく為には、国による教育システム改善への前向きな取り組みが更に求められねばなりません。
カンボジア合気道クラブ 工藤 剛
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2004年2月号の転載です。
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「カンボジア通信 February 8, 2004」
1. 日常生活 - モノは大切に
日本はまだ寒い日が続いているようですが、こちらは1日の最高気温は30度を超えているにも拘わらず、そう暑さを感じることもなく比較的過しやすい季節です。
最近、毎週日曜日の午前中に住んでいるバサックのテニスコートで生徒たちとテニスを興じるようになりました。こちらでは空き地や野原で簡単に出来るサッカーやバレーボールは盛んですが,テニスはコートも少なく、コート使用料を払ってまでプレーするクメール人は少ないようです。ここでは、コート、ラケット、ボールも無料で貸してくれる為に生徒たちにとっては魅力的なのでしょう。初めてプレーする者が殆どでしたが、続ける内に自己流ですが上達してきました。
私も皆とプレーしている内、履いているカジュアルシューズの片方の底がパックリ剥がれてしまいました。古くもあり捨てて新しいのを買おうと思いましたが、生徒の一人が「先生、直します。」と言ってくれました。こちらでは、靴は何度でも修理して完全に履きつぶすまで使うようです。
直してくれたシューズをみると、接着剤でつけただけでなく、底と剥がれた上部の部分のまわりすべてを新しい糸で縫い付けてあり、驚いたことにもう一方の靴も同じように縫ってくれていました。買った時より丈夫になり、その手仕事の完璧さに感心しました。お金を払おうとしたら、2,000リアル(55円位)しかかからなかったので要りませんと結局、お金を受け取ってもらえませんでした。
こちらで市内観光をされた方は気付かれたと思いますが、道端やマーケットの至る所に車、バイクやあらゆる機械、器具の中古屋があります。私と同じ世代の方なら記憶にあるでしょうが、我々の子供の頃は鍋釜、こうもり傘から家庭内にある多くの器具類は度々修理して長い間大事に使用していたものです。
大量消費に伴う大量のゴミ廃棄物の発生と先進国が抱える問題を考えると、モノを大切にするという習慣はこれからの若い世代にも是非伝えていくべきことだと生徒から教えられました。使い捨てに慣れ親しんでしまった私も大いに反省させられた一件となりました。
2. 合気道 - アーク・プレック・アンチャン道場一周年&本部道場東南アジア巡回指導
昨年11月の演武大会効果によるクメール人の生徒増加は一段落しましたが、最近、日本人を含む外国人の参加希望者が増えています。日本人はJICA専門家の親子をはじめ年金生活をプノムペンで過しているという65歳の男性も来られました。その他、スロバキア人の夫婦に黒帯のカナダ人も再開したいと訪ねてきました。最初からのフランス人、トルコ人のメンバーも含め少しずつですが国際化も進みつつあります。
さて、昨年1月18日にオープニングセレモニーを行いましたアーク・プレック・アンチャン道場の一周年を記念して1月17日にパーテイを開催しました。
カンボジア合気道クラブの主要メンバーと道場の関係者、生徒たちを中心に40名でささやかなパーテイとしました。当日は,2時30分よりの稽古時間をパーテイに充てました。バクセイ・チャムクロング・クラブからビデオ機器やスピーカー及び食材を持参し、生徒たちが思い思いに料理作りを行いました。
全員参加による手作りのパーテイで、オープニングセレモニーのビデオを見たり、クメールダンスを教わったりと一周年記念を楽しみました。三周年、五周年と彼らが中心となって歴史を繋いでいけたらと願っております。
また、年初のビッグイベントとして、2月5日、6日の二日間、本部道場主催による巡回指導がおこなわれました。関師範、佐々木指導員によるカンボジアでは初めての巡回指導です。三道場すべてで指導をお願いしましたが、両先生から取りだけでなく、受けの方の構え、打ちこみ方など普段目の行き届きにくいところも丁寧に指導いただき、生徒たちも新鮮な刺激を受けたようです。
先生たちがお帰りになった後の稽古で生徒に感想を聞いてみました。先生が技をかける時は力強く早いのに、最後に投げ押える時はゆっくりやさしく捌いてくれたと、まだ稽古を始めて一年の自分らへの指導であることを良く理解してくれたようで、安心しました。来年の巡回指導に期待を抱かせる良い経験をさせていただき、関師範、佐々木指導員に心より感謝申し上げます。
3.その他 - 子供の不発弾による爆発事故
1月29日にパンテイアイ・ミンチェリィ州で13歳の少年が自宅近くの藪で見つけた不発弾を弟に見せようと家に持ち帰り、遊んでいる内に爆発するという事故がありました。13歳の長男を筆頭に10歳、4歳と8ヶ月の兄弟全員が死んでしまいました。両親が畑仕事から戻ると子供全員が亡くなっただけでなく、自宅も全焼です。
不発弾や地雷による死傷者の数は年々減少しつつありますが、カンボジアの地方に行くとまだこのような悲しい事故が発生しています。日本を含む各国のNGOが不発弾、地雷撤去に取り組んでいますが、米軍の空爆による不発弾やソ連製、中国製などの地雷が今もかなり残されたままです。まだまだ撤去作業は続く状況で、このような悲しい事故が無くなるのは何時のことなのでしょうか。
カンボジア合気道クラブ 工藤 剛
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2004年1月号の転載です。
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「カンボジア通信 January 4, 2004」
1. 年の始めに
昨年はカンボジア合気道クラブの活動に対し、多大なるご支援、ご協力を賜り誠に有難うございました。お蔭様をもちまして、合気道経験者ゼロの状況からスタートしたにも拘わらず、昨年11月にはプノムペンで初めての日本武道演武大会まで開催することが出来ました。
ラオスに続いて、カンボジアでも合気道が根付きつつあることを実感できた一年となりました。
今年も、1月17日にアーク・プレック・アンチャン道場の1周年記念、2月5日、6日の関師範、佐々木指導員による東南アジア巡回指導と年初から行事が続きます。
特に、合気会本部道場による巡回指導は普段稽古をしている3道場に2先生をお迎えすることで生徒たちへのインパクトもかなり大きなものがあるものと期待しております。
更に、4月15日~18日には「合気道・東南アジア地域演武大会&セミナーインハノイ(仮称)」がベトナム日本人材協力センター(VJCC)の主催により開催される予定です。現在、堀添勝身師範により設立された「VJCC合気道クラブ」の要田正治氏が中心となって準備を進めておりますが、「アジア合気道連盟」の深草会長、JICAなどに相談しながら、ラオス、カンボジア両合気道クラブも積極的に参画していくつもりです。
昨年同様、日本の合気道団体の皆様にも是非応援をお願いしたく、またご案内申し上げますので、よろしくお願いいたします。
2. 年末年始
一昨年は11月に稽古を始めたばかりでしたので、正月休みは1月1日の元旦のみとし、他のJICAメンバーの正月海外旅行を横目で眺めながら稽古を続けました。
今回は、メイン道場のバクセイ・チャムクロング・クラブ道場の改装工事もあり、年末年始の休暇を取ることが出来ました。
どのように過ごそうかと思案していましたが、ラオスの青木さんからバンコックの深草先生の所へ行くとのメールが入り、急遽、私もお邪魔することにしました。あわよくば、正月3ヶ日をチェンマイで過ごせないかと旅行会社に駆け込みましたが、タイ国内線はどこも満員で、特に、バンコック~チェンマイの航空券は取れませんでした。やはり、年末年始は日本や近隣諸国からの観光客が殺到するようです。
結局、稽古する運命にあるようで30日の夕方(18:00~19:30)と31日の越年稽古(23:00~0:05)に参加しました。
シンガポールからは Mr. Freddy T H Khong ら6名も参加し、タイ、フランス、イギリス人に我々日本人が加わり、国際色豊かな楽しい稽古となりました。20年以上続いた本部道場での越年稽古が昨年プノムペンで途切れ残念な思いをしましたが、お蔭様でタイの地で又、再開することができ喜んでおります。プノムペンでは日本レストランの値段が高いこともあり、めったに行くこともなくメイドさんの作る食事で満足しております。
しかし、バンコックはプノムペンとは段違いで、数え切れないほどの店があり、値段もかなり安いようです。滞在期間中、青木さんと「らあめん亭」、「すし幸」、「秋吉」、「夢屋」などで日本食を堪能しました。
カンボジアの正月は今年は4月13日~15日で1月は1日だけの休みですので、正月の雰囲気は特にありません。でも、バンコックで越年稽古に参加し、熱燗の酒も飲めたことで久しぶりに正月気分を味わうことが出来ました。
3.物乞いの子供たち
バンコックではプノムペンに比べて子供の物乞いも少なく、さすがに大都会の風情です。しかし、国境近くのタイの町やベトナムのホーチミンシテイなどでは、カンボジアからの子供が物乞いをする為に不法入国しており、ベトナム警察では月に1~2度保護してはカンボジアへ送り返しています。年末にも60名くらいの子供が出身地の Svay Rieng 州などへ送り返されました。
これらの子供たちのなかには人身売買による子供が含まれている他、家族の為にお金を稼ごうと数ヶ月滞在する子供も多いようです。
人権団体では貧困がその大きな理由と指摘していますが、出身地の当局の担当者が子供たちの家を訪れ事情聴取したところ、子供を養うだけの米は充分あるにも拘わらず、バイクやテレビを買う金が欲しいという理由で子供を国境沿いの街へ不法入国させる親も多いようです。
不法入国者への取り締まりを強化し、人身売買を防止することと同時に子供の親たちへの教育が子供を守るためにまず必要なのかもしれません。
カンボジア合気道クラブ 工 藤 剛