第7回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。

今回は2004年1月号の転載です。
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「カンボジア通信 January 4, 2004」

1. 年の始めに

昨年はカンボジア合気道クラブの活動に対し、多大なるご支援、ご協力を賜り誠に有難うございました。お蔭様をもちまして、合気道経験者ゼロの状況からスタートしたにも拘わらず、昨年11月にはプノムペンで初めての日本武道演武大会まで開催することが出来ました。
ラオスに続いて、カンボジアでも合気道が根付きつつあることを実感できた一年となりました。
今年も、1月17日にアーク・プレック・アンチャン道場の1周年記念、2月5日、6日の関師範、佐々木指導員による東南アジア巡回指導と年初から行事が続きます。
特に、合気会本部道場による巡回指導は普段稽古をしている3道場に2先生をお迎えすることで生徒たちへのインパクトもかなり大きなものがあるものと期待しております。
更に、4月15日~18日には「合気道・東南アジア地域演武大会&セミナーインハノイ(仮称)」がベトナム日本人材協力センター(VJCC)の主催により開催される予定です。現在、堀添勝身師範により設立された「VJCC合気道クラブ」の要田正治氏が中心となって準備を進めておりますが、「アジア合気道連盟」の深草会長、JICAなどに相談しながら、ラオス、カンボジア両合気道クラブも積極的に参画していくつもりです。
昨年同様、日本の合気道団体の皆様にも是非応援をお願いしたく、またご案内申し上げますので、よろしくお願いいたします。
  

2. 年末年始
一昨年は11月に稽古を始めたばかりでしたので、正月休みは1月1日の元旦のみとし、他のJICAメンバーの正月海外旅行を横目で眺めながら稽古を続けました。
今回は、メイン道場のバクセイ・チャムクロング・クラブ道場の改装工事もあり、年末年始の休暇を取ることが出来ました。

どのように過ごそうかと思案していましたが、ラオスの青木さんからバンコックの深草先生の所へ行くとのメールが入り、急遽、私もお邪魔することにしました。あわよくば、正月3ヶ日をチェンマイで過ごせないかと旅行会社に駆け込みましたが、タイ国内線はどこも満員で、特に、バンコック~チェンマイの航空券は取れませんでした。やはり、年末年始は日本や近隣諸国からの観光客が殺到するようです。
結局、稽古する運命にあるようで30日の夕方(18:00~19:30)と31日の越年稽古(23:00~0:05)に参加しました。
シンガポールからは Mr. Freddy T H Khong ら6名も参加し、タイ、フランス、イギリス人に我々日本人が加わり、国際色豊かな楽しい稽古となりました。20年以上続いた本部道場での越年稽古が昨年プノムペンで途切れ残念な思いをしましたが、お蔭様でタイの地で又、再開することができ喜んでおります。プノムペンでは日本レストランの値段が高いこともあり、めったに行くこともなくメイドさんの作る食事で満足しております。

しかし、バンコックはプノムペンとは段違いで、数え切れないほどの店があり、値段もかなり安いようです。滞在期間中、青木さんと「らあめん亭」、「すし幸」、「秋吉」、「夢屋」などで日本食を堪能しました。
カンボジアの正月は今年は4月13日~15日で1月は1日だけの休みですので、正月の雰囲気は特にありません。でも、バンコックで越年稽古に参加し、熱燗の酒も飲めたことで久しぶりに正月気分を味わうことが出来ました。

    
3.物乞いの子供たち
バンコックではプノムペンに比べて子供の物乞いも少なく、さすがに大都会の風情です。しかし、国境近くのタイの町やベトナムのホーチミンシテイなどでは、カンボジアからの子供が物乞いをする為に不法入国しており、ベトナム警察では月に1~2度保護してはカンボジアへ送り返しています。年末にも60名くらいの子供が出身地の Svay Rieng 州などへ送り返されました。
これらの子供たちのなかには人身売買による子供が含まれている他、家族の為にお金を稼ごうと数ヶ月滞在する子供も多いようです。
人権団体では貧困がその大きな理由と指摘していますが、出身地の当局の担当者が子供たちの家を訪れ事情聴取したところ、子供を養うだけの米は充分あるにも拘わらず、バイクやテレビを買う金が欲しいという理由で子供を国境沿いの街へ不法入国させる親も多いようです。
不法入国者への取り締まりを強化し、人身売買を防止することと同時に子供の親たちへの教育が子供を守るためにまず必要なのかもしれません。 

カンボジア合気道クラブ  工 藤  剛