第4回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。

今回は2003年9月号の転載です。
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「カンボジア通信 September 1, 2003」

1. 日常生活?雨不足の影響大

日本は冷夏で寝苦しい夜に悩まされることも少なかったようですが、カンボジアでは雨季にも拘わらず雨量が例年に比べてかなり少なめで生活面への影響が心配されております。

漁業はGNP構成比12%を占め、縫製品、木材、ゴム、農作物と共にこの国の主要産業の一つです。淡水魚の漁獲量は世界第4位だそうで、この内半分は税金逃れの為に不法輸出されています。タイへはトン当り367ドルと砂利並みの値段で輸出される一方、加工された魚はトン当り9,472ドルで香港へ輸出できます。しかし、加工産業が未成熟な為にその量はわずかに留まっているのが残念ながら現状です。
今年は雨量が少ない為に、メコン河やトンレサップ河共に昨年に比べて水面が1mも低く、魚の産卵への影響で、来年の漁獲量の落ち込みが懸念されています。
政府も網目の細かい魚網の禁止や電気使用の漁の取り締まり、更に、商業用漁獲を7月から9月まで禁止するなどの対策を取っていますが、9月以降の雨量回復が一番の改善策となるようです。

また、米の主要生産地であるバッタンバン州とシエムリアップ州でも、水不足に見舞われており、今後半月以内に十分な雨量が確保出来ないと水田が干上がってしまうと悲鳴をあげています。
やはり、日本同様、その季節にあった天候となることが一番なんだなと感じさせられます。
  

2. 合気道?11月以降のイベント目白押し

2001年11月からラオスで合気道の指導に情熱を傾けてきた青木さんの2年の任期が終りに近づき、その前のクライマックスを迎えようとしております。
彼の2年間の活躍と実績は「合気道探求」第26号で既にご覧いただいたと思いますが、11月21日、22日にビッグイベントを行います。
タイ合気道協会の深草先生による合気道セミナー(21日)と第2回日本武道演武大会(22日)をビエンチャンで開催します。
私も、カンボジア合気道クラブのメンバーと共に参加し、イベント盛り上げに少しでも協力出来ればと考えております。
日本からも4名の方がビエンチャン、プノムペンに応援に来てくれるそうで大いに楽しみにしています。

また、カンボジア合気道クラブとしても、日本、カンボジア外交関係樹立50周年、カンボジア独立50周年記念行事に参加して、プノムペンで演武大会をやることに決めました。11月10日前後を予定していますが、柔道マンの小川大使のスケジュールを押えるべく、現在、Sumitomo Corp.カンボジア事務所の大塚さんと調整中です。

合気道の演武大会がカンボジアで一般公開されるのは初めてですので、場所の決定、柔道、空手道も含めたメンバーの確保から資金繰りなどいろいろ忙しくなりそうです。
  
3. 閑話

?村の火消しも金次第
8月9日にプノムペン郊外のある村で火事があり、男の子2名が死亡、51軒を焼失し、96家族がホームレスとなりました。
その後すぐに、司法当局は2名の消防士を職務停止させ、調べに入りました。消防士の月給もご多分にもれず20ドル程度と安い為、消火の際に20~28ドルを村人に要求することが日常茶飯事のようです。しかし、この2人は400ドルを要求、村人がお金を払えないことから消火作業をストップしたとの疑いで調べを受けているようです。

死亡した子供の家族は国と町から112万リエル(280ドル)、残りの95家族は
12万リエル(30ドル)に20kgの米、衣料品、その他生活必需品の提供を受けましたが、この国では、まさに命や財産も金次第で大きく左右されるようで、この現実に何とも言えぬ気持ちを抱かざるを得ません。

シアヌークビル探訪
稽古のない時間を利用してプノムペンからバスで片道4時間のシアヌークビルへ行ってきました。ここは、タイ湾に面した素晴らしい海岸リゾート地で有名で、同じボランテイア仲間(栗林女史)がレンジャーとして、リアム国立公園でマングローブ林の管理をはじめ自然環境保護の仕事に携わっている所です。
バスも車内で蚊2匹を捕まえたことを除けば、エアコンもついていて、国道4号線の道路も良く快適でした。
ビーチは雨季のシーズンオフで観光客も少なく、さわやかな海風を身体一杯に浴びながら、シャコ、エビ、カニずくしのランチを満喫しました。ホテルの目の前のビーチサイドレストランで、日がタイ湾にゆったりと沈むのを眺めながらのデイナ-ものんびりと英気を取り戻すのに絶好でした。
翌日、レインジャー女史にリアム国立公園をボートで2時間のコースで案内してもらいました。河の両岸に群生するマングローブの林と時々ペリカン、イーグルなども姿を現し、日本ではお目にかかれない風景を堪能することが出来ました。

マングローブは炭の材料として使われるために乱伐の跡があちこちにみられますが、レインジャーの数も少ない為に広大な公園をきちんと管理するのは至難の業と彼女が嘆いていたのが心に残りました。
夜はホテルでカジノが楽しめ、朝食付きで1泊20ドルと格安料金で、家族が来た時にまた来てみたいと思います。