第5回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。

今回は2003年11月号の転載です。
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「カンボジア通信 November 9,2003」

1. 日常生活?雨季も終りに

11月に入ってプノムペンではめっきり雨の日が少なくなり、雨季も終りに近づいたようです。これからは、気温もいくらか低くなり、こちらの人には比較的過ごし易い季節となります。

逆に、日本では、寒さも少しずつ厳しさを増していくことでしょう。皆様、体調を崩されませんようお気をつけ下さい。
今月、プノムペンでは7日~9日の水祭りに9日のフランスからの独立50周年記念式典が重なり、市内は各州からの見学者で溢れています。4月の正月の時は逆に、プノムペンから各州に出て行く人が多い為、この時期が一番の賑わいとなります。

さて、10月20日にこちらに戻りましたが、7月27日選挙後の連立政権はまだ組閣されず、シアヌーク国王の仲介による与野党3党の話し合いが11月5日に行われました。この会議でなんとか3党間の基本的合意が出来たようで、フン・セン氏を首相とする新政権の発足へむけた準備がやっとスタートするようです。

この間の政治的混乱の影響かどうか例によってはっきりしませんが、10月17日カンポットでフンセンペック党の支持者が殺害された他、同18日にフンセンペック系ラジオ局員が殺害され、同21日にもフンセンペック党の歌手が銃で撃たれ重傷、娘をかばおうとした母親が射殺されるといった事件が相次ぎました。

普段生活していて、治安が特に悪化したと感じることはありませんが、今度こちらにこられる方は、昼間の観光と稽古に専念されて、夜遊びは控えるようになると思います(自宅前のホテルのカラオケバー位は、ご案内できるかな? 館野さん!)。

2. 第一回日本武道演武大会報告
11月1日午後2時30分から5時まで国立文化センターにおいて、合気道・柔道・空手道による「第一回日本武道演武大会」が開催されました。ラオスの青木さんもラオス合気道クラブのメンバー5名を同行され、合気道セミナーの指導と演武大会に参加してくれました。

来賓として、小川大使、力石JICAカンボジア所長、カンボジア側から教育・青年・スポーツ省のH.E. Bun Sok次官、カンボジア柔道連盟のMr.Monh Kamsan代表、カンボジア格闘技委員会のMaj.Gen.Nem Sowath代表や各国大使が臨席され、約500名の来場者となりました。

小川大使、H.E. Bun Sok 次官の来賓挨拶の後、柔道、空手道、合気道の順に、それぞれの演武を行いました。柔道の演武では、小川大使(講道館3段)が海外青年協力隊員の江藤昌史3段を相手に、礼と相手を敬う武道精神を強調されつつ説明演武を披露され、来場の皆様から大きな拍手を受けておられました。

小川大使は11月末にはデンマーク大使へ栄転されることになり、日本・カンボジア外交関係樹立50周年のイベントが我々との最後の大きな仕事となります。このような記念すべきイベントで大使と共に第一回の日本武道演武大会を開催することが出来、カンボジア武道界の歴史に残る良い思い出になると思います。

空手道の演武は松涛館、和同流、新極真会の3流派による競演となりました。新極真会岐阜支部から派遣されている杉原健一2段による氷の試割りとMr.V. Chamreun(松涛館4段)との試合形式の組手演武も珍しかったのか、かなり観客の興味を引いたようです。その他では、日本人の子供空手教室の子供たちによるかわいらしい演武も大いに受けていたようです。JICA事務所所員の増田さんの奥様は合気道の初心者演武に出場され、親子による異種武道競演となり、良い記念となったことでしょう。

合気道が最後に登場し、アーク・プレック・アンチャン道場の高校生20名が固め技、投げ技の基本技を中心に、若者らしい躍動感に溢れた演武を披露してくれました。演武大会に参加された小川大使、力石JICA所長をはじめ、教育・青年・スポーツ省のH.E.Bun Sok 次官らカンボジア側の来賓の方々も、その成長ぶりを見て、心より喜んでいただいたようです。女性、初心者による呼吸法の稽古に続いて、レス・ジャルデンス・ドウ・バサック道場メンバーには武器技(短刀取り)に挑戦してもらいましたが、なんとかこなしてくれ安心しました。

バクセイ・チャムクロング・クラブ道場の若手による演武は、私の指導による片手取り三教、横面打ち四方投げ、横面打ち小手返し、片手取り回転投げを行ないました。締めは、日本人コーチによる演武で、住友商事の大塚雅康3段(大阪大学合気道部OB)が若手2名を相手に自由技と二人掛けを披露しました。
次いで、ラオス合気道クラブ初段5名が剣・杖の形と自由技の演武を行ない、青木5段は武器技中心の演武で合気道の多様性、変幻自在ぶりを紹介してくれました。

最後に、この演武大会の大トリを役不足とは思いましたが、カンボジア合気道クラブを代表して私が勤めさせてもらいました。大塚3段は私よりかなり大柄で、学生のような派手な受けを取られたこともあり、カンボジアにおける「第一回日本武道演武大会」の締めの演武をなんとか恙無く終えることが出来ました。これもひとえに、私の一時帰国時に札幌、仙台、東京、福井と全国各地の合気道仲間の皆様が浄財をお寄せいただき、大きな支援をいただいた賜物です。お蔭様で、記念となる大きな大会を無事やり遂げることが出来、こちらの皆様とも心から喜んでいるところです。

なお、ラオスでは引き続き第二回日本武道演武大会を11月22日に控えており、青木さんも皆様からの大きな支援を受けて、大いに意を強くしているところです。ビエンチャンでの演舞大会に参加される館野さん、坂田さん、金子さん、西さんと後藤グループの皆様と力を合わせて、青木さんを大いに盛り上げていきたいと思います。

皆様からの暖かいご支援に対しまして、最後に重ねて心より御礼申し上げますと共に、皆様の益々のご健勝をお祈りしております。 合 掌