第6回カンボジア通信
このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、
月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。
今回は2003年12月号の転載です。
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「カンボジア通信 December 3, 2003」
1. 日常生活—-日照りにもかかわらず、今年の米供給は安泰
12月に入って気温も28度を下回るようになり、朝晩はかなり涼しく感じられるようになりました。乾期に入って、2月くらいまでは更に過ごし易くなります。今年の雨期の間の雨不足による日照りの影響で、コムポムトム州、コムポムチャム州では米の生産量が落ち込みますが、カンボジア全体では50万トンの余剰となるようです。昨年も20万トンの余剰で、この国の自然の恵みの素晴らしさを再認識させられます。米不足の州には支援組織、政府、赤十字やフリーマーケットを通して、融通されることになります。
ちなみに、カンボジア米はプノムペン市内のマーケットでは、1,250リアル(35円)/1kg で売られており、地方ではその半分以下で手に入るようです。勿論、全体の所得水準、物価水準が桁違いですが、日本における価格と比較すると、農業政策の是非を考えざるを得ません。
卵は1パック(10個)で、1,900リアル(53円)ですが、卵は日本でも物価の優等生だけに米に比べれば、あまり割安感はないかと思います。
2. 合気道—-第二回日本武道演武大会報告(ラオス)
11月21日、23日と22日にラオス、ビエンチャンにて、それぞれ「合気道セミナー」と「第ニ回日本武道演武大会」が開催されました。今回も昨年11月同様、タイ合気会の深草先生が11名の生徒を同行され、合気道セミナーの指導、演武大会の大トリの演武と活躍されていました。
モンゴルの前川海外青年協力隊員と私はそれぞれ現地より会員1名を同行し、参加しました。私の受けを取ったクンテ-ン氏(3級)は、大きな演武大会での初めての受けで、リラックスするよう言っておいたのですが、ガチガチで、捌くのに少々苦労しました。まだまだ自分の修行の足りなさを感じた演武となってしまいました。
東京からは金子、坂田先輩、西グループ、後藤グループ、南グループに第一製薬の館野さんが加わり、総勢10名による賛助演武で大会に花を添えてくれました。昨年を上回る1,600~1,800名位の来場者があり、青木さんの2年間の成果が結実した良い大会となりました。橋本大使、西脇JICA所長(和同流4段)も大いに満足されておられました。
演武会終了後にアリランレストランにて、合気道関係者交流懇親会をラオス合気道クラブが開いてくれ、ラオスメンバーを始めとして世界各国から来ている合気道メンバーが集う賑やかなパーテイとなりました。東京からお出でいただいた皆様も国際交流を大いに楽しみ、おいしいラオ・ビア-やモンゴル焼酎を沢山味わえたことと思います。
皆様からのご寄付を始めとして、多くの暖かいご支援を賜り、青木さんはじめラオス合気道クラブのメンバーも大満足のうちに大きなイベントを終えることができました。この場を借りて、あらためて皆様に御礼申し上げます。
3.不名誉な話題—-日本人の逮捕事件
演武大会の報告の後に以下の話題を書くのを躊躇したのですが、ベトナムやカンボジアの少女たちの過酷な環境にふれざるを得ませんでした。11月28日のThe Cambodian Daily(英語版)の一面に、ついに日本人とドイツ人が実名と写真付きで大きく報道されました。2人とも、プノムペン郊外のSvay Pak Village にある「売春宿5」で、16歳以下の少女を相手にしたことで現行犯逮捕されたものです。
日本人(K.M 兵庫県出身、54歳)は、少女6人を相手に自ら撮影したビデオテープも押収され、ドイツ人(E.V 61歳)は、12歳と14歳の少女を相手にしたとの罪によるものです。8名はいずれも仕事があるとベトナムから連れて来られた少女たちで、現在、人権擁護団体が保護しており、帰国させる方向で事情聴取を進めています。
この件とは別に、73歳のオーストリー人がカンボジアの14歳の少女とホテルに居たところを逮捕されたことも話題となっています。この男性は、少女が9歳の頃から家族付き合いを続けており、この間、少女の両親に家を買い与えた他、お金の面倒もみてきたようです。この為に、少女の両親は裁判所にオーストリー人の釈放と娘を家へ早く戻すよう申し入れるという、我々には理解しがたい展開となっております。
いずれのケースも、大使館に介入の余地は無く、弁護人をつけ、カンボジアの法律に則って公正に手続きが行われることを見守るだけでしょう。裁判で有罪となれば、10年から20年は収監されるとのことで、犯した罪に対する見返りは、当然のことながら厳しいものとなるかもしれません。この「売春宿5」の経営者三名も逮捕され、営業停止となりました。
女性問題省のMs.Mu Sochua大臣は、国家警察に対して更に厳しく取り締まるよう申し入れましたが、他の売春宿の経営者たちは警官にお金を渡せば客は守れると、従来通りの商売を続けています。結局、観光客が訪れる限り、商売は続けられるという構図は簡単には変わりそうもありません。私としては、日本人らによる悪しき行状をお伝えするのみにて、どんな感想を記せば良いのか迷えるおのこの一人として、ただ困惑するばかりです。
カンボジア合気道クラブ 工 藤 剛