6代工藤さん、JICAシニア海外ボランティアの件で朝日新聞に掲載

35代の伊藤です。

菊島OB会会長より、12月18日の朝日新聞にて6代工藤剛先輩がカンボジアでJICAのシニア海外ボランティアとして合気道のご指導をしていた時の記事が新聞に載っていると教えていただきましたので、ご参考まで掲載します。

カンボジアにはその後8代金子信一先輩に受け継がれ、現在は10代の森修一先輩がシニア海外ボランティアとして、また、金子さんは自費ボランティアで現地に赴任して一緒になって合気道の普及に努められています。

いったん就職をするとどうしても合気道から離れてしまいがちになりますが、一段落ついたところで多くのOBがまた再開されています。私自身の自戒も込めて励みになった記事でした。


工藤さんの朝日新聞記事(JPG:600KB)

以下、記事の起こしです。
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右を見て、左を見て、また右を見て。日本では当たり前のことも、国が変わればがらりと変わる。

証券会社を早期退職した工藤剛さん(67)が国際協力機構(JICA)を通じて、2002年から合気道指導のボランディアとして行ったのは、カンボジア。この国では、クルマが右側通行。日本とは逆だった。

首都プノンペンといえど、信号機どころか、舗装道路も普及していなかった。歩行者優先という考え方もない。道路を渡るときは、左、右、左の順で目線を配らないと危なかった。

3年間の滞在で人がはねられる場面に3度、出くわした。仲間たちと並んで横断方法を練習した。「染みついている習慣を実感した。慣れるのに1,2か月かかりました」

内戦は約10年前に終わっていたが、政情がまだ不安定で、治安も悪かった。住まいは自動ロック、警備員付きのマンションを借りることをJICAが認めてくれたが、夜になると外から銃声が聞こえた。夜間の一人歩きは控え、日中の移動もできるだけ車を使った。

緊張を強いられる日々に、同時期に派遣された他の6人は運動不足に陥り、みんな太り気味になった。

03年1月の夜。自宅前の路上に集まって来る群衆を見て、ただ事ではないと感じた。その数、数百人。人々は投石したり、火を放ったりし始めた。「まずは情報収集」。マンションの警備員に英語で話しかけた。

タイ人女優が「アンコールワットはタイのもの」と発言したとの報道があり、住民が怒っているという。自宅の二棟隣のタイ大使館を狙った焼き討ち事件だった。外出しなければ巻き込まれないと判断できた。

「自分の安全は自分で守るというのが基本。何か起きないようにするために、また、何かあった時のために、日ごろの人間関係が大切です」。商社の在留邦人とも交流し、気晴らしに仲間とテニスを始めた。

充実した活動の前提になる安全・健康対策とは。JICAの勝又晋(すすむ)・計画課長は「日本との違いを知ることが第一歩です」。シニアは活力があるが、健康の大切さへの自覚が不十分な人も多く、体調管理が重要になるという。