第16回カンボジア通信

このテキストは、6代工藤先輩が「カンボジア通信」として、 月1回発刊しているものをいただいて許可を得て転載しております。 今回は2004年12月号の転載です。

「カンボジア通信 December 6, 2004」

水祭り

11月25日~27日の3日間恒例の水祭りが王宮近くを流れるトレンサップリバーで開催されました。今年はシハモニ新国王が河沿いに用意された国王席より初めて観覧するということで注目され、観光省も見学用の座席を増やし宣伝に努めました。

ところが、すでに雨季は明けたはずなのに何故か3日間連続でドシャブリの雨となり、大荒れのボートレースとなってしまいました。人出も昨年より3日間で100万人も減少したようで、雨の影響以外にも干ばつに見舞われた州があって、プノムペンに出てくるための現金収入の道が絶たれた村人が多かったようです。

この為に、参加したボートの数も昨年の400隻から382隻に減り、レースに参加したボートも大荒れの天候の中で記録を更新するボートはゼロ、43隻が沈没するという記録ずくめの大会となりました。

ところで、各レース毎の優勝チームには100ドル、2位に75ドル、3位に50ドルの賞金が出るほか、優勝チームの全員に米25kgが商品として支給されます。この3日間、河の両岸にはにわか露店があふれ稼ぎに励むのですが、あるヌードル屋さんは例年なら1日25ドル稼げるのに2ドルの稼ぎしかなかったと嘆く姿が報道されていました。

しかし、この雨は干ばつの被害に苦しむ各州の人々にとっては待望の恵みの雨となったようです。就任以来、各州を頻繁に訪れ彼らの力になろうと努力する新国王の願いが通じたのではとまことしやかに話す者もあったと聞いております。

アセアン・サミット開催期間中、ラオ・ユース・ユニオン道場での活動が出来なくなった松長さんがビエンチャンよりアンコール・ワット観光を兼ねてプノムペンを訪れ、拙宅へ3泊されました。リバーサイドのポンロー・レストラン2階席に案内し、ランチを取りながら2日目のボートレースの賑わい振りを見てもらいました。昼過ぎまでは雨が降ることもなく、沈没するボートを目にすることは出来ませんでした。

松長さんには、26日の夕方と27日朝の2回、こちらの生徒の稽古指導をお願いしました。水祭りの三連休で参加者は少なめでしたが、他の道場の先生の技に触れることで刺激を受けたようで今後の稽古に生かしてもらえればと思います。
    

新合気道道場ついに完成!!!

12月3日、ついに新道場の正面玄関の上に「アーク トゥ‐ル クラサング 合気道道場」の看板が取り付けられました。カンボジア合気道クラブ代表のラブート氏が自ら筆を取り描いたものでユネスコカンボジア事務所や日本大使館からもパンフレットやポスターの作成仕事を頼まれる彼の技量が生かされたものです。

プノムペンで購入したゴム製のマットを板を敷きつめた台座の上にひきましたが、当初予想したより弾力もあり、それほど硬くもなく稽古するには支障なさそうです。早速、12月中に生徒募集を行い、切りの良い新年早々から新道場での稽古を開始する予定です。

幸い、2月中旬には本部道場による東南アジア巡回指導が行われると聞いております。本部道場の先生が来られるスケジュールに合わせて、新道場のお披露目ができればなりよりです。また、来年9月には「アーク」による学校と新合気道道場の贈呈式も予定されており、また多くの方がお見えになるようで、カンボジア合気道クラブのメンバー皆首を長くしてお待ちしております。

この新道場を建物の立派さに負けないようなカンボジア一番の合気道道場にしていくことが任期終了日までの私の大きな使命と、あらためて気を引き締めている所です。これまでの皆様からの物心両面にわたるご支援、ご協力に心より感謝いたしますと共に引き続き我々の活動を見守り下さいますよう重ねてお願い申しあげます。  

カンボジア・トピックス

1. 干ばつの被害

このほど、フンセン首相は干ばつの被害を受け食糧不足に直面している現状を踏まえ、穀物備蓄をすすめる為に、精米していない米の輸出を禁止することにしました。

通常、農民たちは精米していない米を1kg当り400~500リヤル(12~15円位)でタイ、ベトナムなどの隣国のブローカーやバイヤーに売り渡し、その後彼らから精米を1kg当り1,000リヤルで買い戻します。農林水産省の担当者は穀物不足に重大な影響を与えるほどの量が輸出されている訳ではないと弁明していますが、政府としては干ばつの被害を少しでも和らげようと懸命の対応をしております。

フンセン首相も各州の村々をヘリコプターで飛びまわり、干上がった田畑を灌漑する為の機械や燃料を配り、裸足、ズボン姿で自ら灌漑用水池のなかを歩くなどのパフォーマンスの様子がテレビニュースでよく見られます。

農水省の説明によると各地に灌漑用のポンプと燃料を配り、井戸を掘るなどの対応により200万ヘクタールの水田のうち10~15%が被害を受けるにとどまるとしています。

支援米の横流しという不祥事により穀物援助を一時ストップしていたWFP(世界食糧計画)も11月11日より援助を再開し、コンポンスプー、プレイ・ベーン、カンダール、タケオなどの州へ1,000トンの米を配布しました。
飢えて苦しむ人が少ないと良いのですが。

2. カンボジア支援国会議始まる

フンセン首相は先月開かれたビエンチャンでのアセアン・サミットにおいてラオス、ベトナム両首相と共に小泉首相と会談し、それぞれの国に関連する開発マスタープランを提示し、支援を求めました。これに対して小泉首相は専門家を派遣し、この3ヶ国のトライアングル開発計画を精査した上で支援することを約束したそうです。

さて、12月6日~7日の2日間、注目のカンボジア支援国会議がプノムペンで開催されます。
かねてより支援国グループと世界銀行、IMFなど多くの国際機関が行政、司法改革を強く求めてきており、現政権担当者の意識がどうかはっきりしませんが、改革をいかに進めるかがこの国の死活問題となっております。
現在、政府が進めている改革プログラムは以下の4つの部分から出来ています。
 1.国家予算の透明性
 2.信頼できる金融システムの構築
 3.優先すべき政策に充分な時間をかける議事日程の設定
 4.政策遂行に当たる政府閣僚の説明責任の明確化 

改革を1980年代より進めてきた結果、経済面での規制緩和、安定化では大きな成果を遂げ、1990年代以降は6~7%の経済成長を達成できたと、フンセン首相は強調してきました。
  
しかし、多くのNGOと市民グループは汚職は相変わらずで貧困と人権侵害も広くはびこったままであると非難し、ドナー各国が更に政府に圧力をかけるよう強く求めています。経済財務省の金融改革プログラムによると国家予算のコンピュター管理の導入、会計検査局による検査結果の公開などを2015年までに“ステップ バイ ステップ”で進めていくとしており、改革のスピ-ドはメコン河の流れのようにゆっくりとしたものとなりそうです。 
  
  
 カンボジア合気道クラブ
        工 藤  剛